一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない

「失礼します。料理長の平木と申します。
神崎さま、本日は......
あれ？カヨちゃん？？」


料理長はこちらに目を向けた瞬間、
ビックリした表情を浮かべた。

緊張して俯いていた私は
急に名前を呼ばれてバッと頭を上げた。
そして、その顔をよくよく見て驚く。
その料理長はメグの交際している啓太くんだったからだ。

「えっ！？啓太くん...？」


その言葉に、神崎さんはこめかみをピクッとひきつかせた。


「カヨ子さん、料理長と知りあい？」



私は問いかけられて神崎さんに目を向けた。

しかし、神崎さんは口元さえ笑っているが
目は氷のように冷たく笑っていない。

神崎さん...?

怒ってる...?

何か気にさわることをしてしまったのだろうか...

私が神崎さんを見つめたまま固まっていると
何かを察した啓太くんが口を開いた。


「神崎さん、
カヨちゃんは高校時代の同級生で
私の婚約者の友人です。」

「えっ？」

啓太くんの言葉に神崎さんは驚きの声をあげた。


「そうだったんですか。
それはまたすごい偶然だな。」


神崎さんはいつもの笑顔に戻り
私はホッと胸を撫で下ろした


「ええ、私も会うのは高校卒業して
以来なのでビックリしました」


「け、啓太くん...婚約おめでとう...」


「かよちゃんありがとう！
ちなみにお二人はどういった関係？？」


「恋人同士です」

啓太くんの問いに神崎さんは間髪入れずに答えた。


「ち、ちがいます！神崎さん！」


何の躊躇いもなく即答する神崎さんに
私は慌てて訂正を入れる。


「ハハッ。と言いたいところですが
今は口説いている最中です。」


神崎さんの言葉に恥ずかしくなり
思わずうつむいた。