一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
車が料亭を出てから数分後。

車はまだ足場が組んだままの
建設中の建物の前で停車した。


「神崎さん、ここは?」

車の窓から見える建物はとても大きく
面積もさきほど訪れた美術館くらいの広さは
あるだろう。




「ここは今秋オープンする予定のホテルだよ。」


あっ、メグが一緒に行こうって言ってたリゾートホテルだ...

私はメグと二人で話していたことを
思い出す。


しかしなぜここに私を連れて来たのだろう...

不思議に思いながらも
神崎さんと一緒に車を降りた。


車から降りるとすぐに
ヘルメットに作業着の年配の男性が
私達に気づき慌てて掛けよってきた。


「神崎社長!お疲れ様です!
今日は視察の予定は入ってなかったと思いますが、どうされましたか?」


「忙しいところすまない。
今日はたまたま近くまで来たから
寄っただけだ。
問題なく進んでいるか?」


「はい!おかげさまで順調に進んでおります。」


男性はこちらに目を向けたので
慌ててペコリと頭を下げた。


「いやーさすが神崎社長!
綺麗な女性を連れてらっしゃる!」


「いえ、そんな...」


お世辞に慣れていない私は
真っ赤な顔で首を横に振う。

神崎さんは男性から私を隠すように
前へ出ると静かに口を開いた。


「それで仕事中悪いんだが
完成予定図を少し見せてくれないか?」


「完成予定図ですか?

はい、事務所の中にあるので
すぐ持って参りますね」
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