一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない

家に着いて玄関のドアを開けると
家の中から電話の音が鳴り響いていた。


慌ててリビングまで
走って行くと急いで受話器をとる


「はい、杉崎です。」


『あっ！？カヨ子やっと電話に出たわね!』


「メグ？ごめん！今、帰ってきたとこなの。
何かあったの？」


『何かあったじゃないわよ！
啓太からメールで聞いたわよ！
今日、神崎社長とご飯食べに来たって！
親友の私は何も聞いてないわよ！
いつの間にそんな仲になったのよ？？』

あちゃー、早くも情報がまわってる。

「ごめんごめん！
この間、神崎さんが道に迷ったときに
家に泊めたことがあって
そのお礼に食事に誘われただけだよ。」


「家に泊めた！？
超がつくほどの人見知りのカヨ子が？」


「仕方なかったの！
神崎さんの車パンクしてたし...」


「ふ～ん。
まっ、それはどうでもいいのよ！
で！神崎さんとは何かラブ的なことはなかったの？」


「ラブってそんなの............」

ふいに神崎さんにキスされたことを思いだし口ごもった。

「あったのね？
やっぱり！...フフッ...
啓太も怪しいって言ってたのよね！
今度会ったときじっくり聞かせてもらうから
覚悟しなさいよ！
じゃあそろそろ戻らないと...
仕事抜け出して電話してるのよ！」


「えっ？メグ？」


「あっ！
それと、もし神崎さんのこと少しでも気になるなら逃げないでちゃんと向き合わなきゃだめよ！
すぐ逃げようとするのもかよ子の悪い癖なんだから！じゃあね！」

プチッ

ツーツーツー

メグは一方的に言うだけ言うと電話は切れた。



逃げないで向き合わなきゃダメか...

メグには何でもお見通しだなぁ...


ハハッと自嘲気味に笑うと
そっと受話器を置いた。

本当に今日は夢のような時間だったな...
でも夢の時間はもう終わり。
私はシンデレラじゃないから現実の一人の世界のほうが合っている。
今度合ったら絵画の件はちゃんと断ろう...