一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
「仕事以外で社長室に来ないよう
釘を指しとけよな」
「一応、皆に指導してはいるんですがね...
最近の女性はたくましい...ハハッ」
「感心してないで指導しろよ...」
俺は呆れた表情で息を吐いた。
「そう言えば社長お昼はどうされますか?」
俺は総司の言葉に
手にしていた書類を机に置くと
椅子の背もたれに深く寄りかかった。
まだあれから3日と経ってないのに
完全にかよ子さん切れだ...
「..................肉じゃが」
「は?」
「肉じゃがが食いたい...」
「肉じゃが...ですか。
でも社長、人参苦手でしたよね?」
そう...
俺は昔から人参だけは苦手だった。
でもかよ子さんの作った肉じゃがに
入ってた人参は美味しかった。
いや、あのときは
彼女の手料理に完全に舞い上がって
無我夢中で食べてたから
どんな味だったかなんて正直
覚えてないのだけれど、
とにかくあの肉じゃががまた食べたいのだ。
「あぁ、何でもない。
そばの出前でも取ってくれ」
「??...承知しました。
いつもの天麩羅蕎麦でよろしいですか?」
「あぁ、それでいい。」
「それでは届き次第お持ちします」
総司はいつもと様子が違う俺に
違和感を感じながらもそのまま部屋を出て行った。
総司が出て行くと社長室はまた静まり返った。
「はあ、カヨ子さんに会いたい...」
俺はそう呟くと天井を見つめたまま
もう一度深く溜め息をついた。