一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
私はロビーに設置してあるソファーに腰掛けソワソワしながら受付嬢に呼ばれるのを待っていた。


まだかな...


私は受付に目を向けるが受付嬢は
他の接客をしていて、忙しそうにしている。



やっぱりアポイント取らないと駄目なのかなぁ...


私がガッカリと肩を落としていると

「カヨ子さん!」

突然後ろから名前を呼ばれ
ビックリして振り返った。


「お待たせしてすみません!」


そこには少し息を切らせた
嬉しそうな笑顔の神崎さんが立っていた。


受付嬢達は社長が自ら
出迎えに来たことに接客を忘れ
驚きの表情を見せている。


「お忙しいところお呼び立てしてすみません!」


私は急いで立ち上がると
神崎さんに向かって頭を下げた。


「カヨ子さんに会いたいと思っていたので
嬉しいですよ」


神崎さんの嬉しそうな笑顔にズキッと胸に痛みが走る。神崎さんの気持ちを利用するような形に罪悪感で押し潰されそうになる。

「かよこさん...?
取り敢えず社長室でお話ししましょうか」


神崎さんは違和感を感じ取ったのか
安心感を与えるように優しい声色で
私を支えるように腰にそっと手を添えた。
そして、エレベーターまでエスコートする。


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