一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
しかし、
私は二人を前になかなか口を開くことができず、三人の間に沈黙が流れる。
「かよ子さん、ゆっくりでいいから...」
神崎さんの言葉に私が顔を上げると
神崎さんは穏やかに微笑みかけてくれる。
もしかしたら神崎さんに
愛想をつかされるかもしれない...
もうこんな優しい笑顔を
向けてくれることはないかもしれない...
神崎さんを見つめたままの
私の瞳が微かに震える。
しかし、いつも自分のことのように
励ましてくれていたメグの顔が浮かぶ。
私は膝に乗せた手を強く握ると
ふうっと大きく息を吐いて覚悟を決めた。
「神崎さん...あの...
私にどうかお金を貸してください!
大変失礼なお願いなのは重々承知です。
お金は何年かかっても必ず返しますから
どうかお願いします...」
私は涙が溢れるのをこらえ
神崎さんに向かって頭を下げた。
膝に乗せた手が自分の意に反して震える。
「カヨ子さん、顔を上げてください...」
神崎さんは頭を下げたままの私の隣に
腰を掛けた。
そして、片方の手を私の震える手に自分の手を添えると、下から覗き込むようにして優しく語りかけた。
「カヨ子さん、理由を話してくれないか?
理由も聞かずにお金を貸すことは出来ない...
怒らないからゆっくりでいい...話してほしい」