一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない

私は神崎さんの優しい眼差しに
コクンと頷いた。


「あの...私の友達の婚約者が...」


「婚約者ってこの間
食事した料亭の平木さん...？」


私は「はい...」と頷いて話しを続けた。


「その啓太くんの料亭は
啓太くんのお父さんと叔父さんで共同経営してたらしいのですが...
その叔父さんがギャンブルに嵌ってお店を担保に多額の借金をしてたらしくて...
啓太くんの料亭は借金の返済に当てられてしまうことになったんです」


「それで俺に頼みに来たと言うわけか...」


神崎さんは私の隣で顎に手を添え
考え込んでいる。


「はい...あの...
ほんとに失礼なのは分かってるのですが...
でも神崎さんしか頼る人がいなくて...」


私の視界が涙で曇り始めた。


「メグが...このままじゃ結婚できない...
プロポーズされてあんなに喜んでたのに...
別れようって言われて泣いてて...
いつも笑顔のメグが泣いてるのに...
私何もできくて...」

そこまで言うと
カヨ子は顔を手で覆ったまま
しゃくりをあげて泣き出した。