一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
総司が部屋を出たあとも
翼はカヨ子が落ち着くまで
ずっと抱き締めていた。


しばらくすると
カヨ子の泣き声はピタリと止み
静かになった。


「カヨ子さん...?」


翼は優しくカヨ子に呼び掛けるが
なんの反応もない。


翼はそっとカヨ子の顔を覗き込むと
まるで天使のような寝顔で
スヤスヤと眠っていた。
しかし、その目の下にはうっすらと
青いクマが出来ていた。きっと心配で夜はまともに眠れていなかったのだろう...

翼はソファにカヨ子を寝かせると
自分のスーツの上着を脱いでそっと掛けた。


翼が覗き込むとカヨ子はスースーと
寝息を立てている。


「愛おしくてたまらないな...」


翼はフッと笑うと
カヨ子の透き通るような白い頬に
手を伸ばした。


トントン


しかし突然のノック音に
翼は慌てて手を引っ込める。
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