一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない

Sideカヨ子

「う～ん...」

眠っていた私は何やら人の話し声が聞こえて
パッと目を覚ました。
天井を見つめると家のレトロな電気傘とは違い、近代的なLED照明が部屋の中を明るく照らしている。

えーっと...ここはどこだっけ...

額に手を当て私はまだ覚醒しない頭を
めぐらせる。

そこに
「はい。その件はそれで進めてもらって結構です」
聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「アッ！」

私は一気に
状況を把握するとバッと跳ね起きた。

そして声のする方に顔を向けると
電話中の神崎さんとパチッと目が合った。

神崎さんは電話の相手と話しながら
私を見てフッと微笑んだ。

あぁ...私一体何やってんだろう...

私は自分の失態に真っ赤になった顔を両手で覆った。


無茶なお願いした挙げ句に
大泣きして寝ちゃうなんて...

時計を見ると
すでに時計の針は17時をさしており
さらに顔が青ざめる。


うわぁ...しかも何時間寝てんのよ...

結局、何も話が進んでないじゃない...


「よく寝てたね」


私が項垂れていると
電話を終えた神崎さんが椅子から立上がるとこちらに向かって歩いてきた。
そして私の目の前のソファにゆっくりと
腰を下ろした。


「ご、ごめんなさい！
何時間も眠ってしまってたみたいで...
しかもこの掛けてもらってたスーツは
神崎さんのものですよね？
後でクリーニングしてお返しします」


私は真っ赤な顔のまま頭を下げた。


「スーツの替えはいくらでもあるから
気にしないで。
それにいいもの見れたし...」


「えっ...?」

いいもの. . .？

ニヤリと頬笑む神崎さんに私は首を傾ける。