一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない

「それとさっきの話の続きだけど...」

真剣な面持ちで話を切り出した神崎さんに
私は「は、はい...」と姿勢を正した。


「カヨ子さんにお金を貸すことは出来ない...
きっと平木さんも君からのお金を受け取るなんて出来ないだろう...」


「そんな...」


私はショックで思わず涙ぐみそうになり唇を噛み締めた。

確かに神崎さんの言う通りだ...

昔から真面目だった啓太くんが
彼女はおろか、その友達からのお金なんて
断られるのがおちだ。


「じゃあどうしたら...」


私は額に手を当てると
涙がポロポロとこぼれ落ちた。


「カヨ子さん..」


神崎さんは立ち上がると
私の隣に腰を下ろた。
そして私の頭に手を置くと
私の目を見つめたまま
優しく語りかけた。


「カヨ子さん...泣かないで...
カヨ子さんにお金を貸すことは出来ないけど
他に方法が無いわけではないんだ。
今夜、平木さんと話し合いの場を設けてる。
そこで僕の提案を平木さんが受け入れてくれれば全てよい方向に向かうはずだ」


「ほんとに...」


私はおもむろに神崎さんの服の袖を掴む。


「あぁ、でももしかしたら
平木さんに断られる可能性もゼロではない。
これから話し合いに行ってくるから
待っていてくれるね？」