一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
神崎さんの問いに私はコクンと頷いた。


「よし!良い子だ!」


神崎さんはそう言って私の頭をポンポンと撫でた。


「それじゃあ、カヨ子さん手を出して!」


「えっ?」


私は訳がわからないままそっと手を出すと
神崎さんはポケットから何かを取り出して
私の手の平にそれを乗せた。


「それは俺の家のカードキーだから
先に行って待ってて!
あと住所と俺の携帯番号を教えておくよ」


そして社長机まで行くとメモ用紙に
住所と電話番号をサラサラと書いて
それを私に差し出した。


「あ、あの、私ここで待っててはダメですか?」

神崎さんの家で待つなんてできない..

私は慌ててメモ用紙をおしかえした。


「立場上ここに社員以外のものを一人残して
おくわけにはいかないんだ...
それにカヨ子さんも早く結果が
どうなったか知りたいだろ?」


神崎さんの言葉に私は渋々、頷いた。


「それに折角逢えたのに帰したくないしね...」


そう言って悪戯っ子のように笑う神崎さんに
私もつられて笑みがこぼれた。



「泣いてるカヨ子さんもグッとくるけど
やっぱりカヨ子さんには笑顔の方が似合うよ。じゃあ下まで送ろうか」


そう言ってスーツの上着をさっと羽織る神崎さんに私の心臓は激しく高鳴っていた。
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