一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
車に揺られること数十分。

車は森を抜け市街地を走り出した。


車窓から見える景色は
すっかり春らしくなっていて
私は車に揺られながら、綺麗な桜並木を窓から眺めていた。


「かよ子さん何かお昼に食べたいものある?」

神崎さんはハンドルを持ったまま
チラッと目線だけ私に向けた。

窓の景色を眺めていた私は
ハッと思い出して、膝の上のトートバッグに目をやった。


「あっ!あの...

実は今朝いつもより早く起きてしまって
お弁当作って来たんです。
冷蔵庫の残り物で作ったので大したものでは
ないんですが...」


自信なさげにうつむく私とは反対に
神崎さんは目を輝かせる。


「本当に??
すごく嬉しいよ!楽しみだな♪
この近くに公園があるからそこで食べよっか♪」


神崎さんのとても嬉しそうな横顔に
私は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


こんなことなら
もうちょっと手の込んだもの
作ってくればよかったと...


弁当箱の中身を思い返してみても
ほとんど彩りが茶色で
華やかさに欠けていた。


居たたまれない私をよそに
車は公園の駐車場へと入っていった。


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