一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない

私たちが車から降りると
外は気持ちいいほどに晴れ渡っていた。


雲一つない青空に
春の暖かい風が流れて
「風が気持ちいいです」
私は思わず顔をほころばせた。



「ほんとピクニック日和だね」


神崎さんは温かい笑顔を向けると
私の前に右手を差し出した。


「行こうか」


私はコクンとうなずくと
神崎さんの大きな手のひらに
自分の左手をそっと重ねた。


神崎さんはフッと笑みを浮かべると
指をギュッと絡ませて、スタスタと歩き出した。


私は歩きながら空いている手を
そっと自分の胸に置いた。


手を繋いでるだけなのに
胸がくるしくて、いっぱいになるのはどうしてだろう...




神崎さん......好きです...



私は心の中でそっと呟くと
神崎さんの手をギュッと握り返した。


手を握り返したかよ子に
翼はビクッと肩を震わすと
動揺を振り払うように口を開いた。


「か、かよ子さん！
あの場所なんてどうですか？」


神崎さんの言葉にか私は顔をあげると
神崎さんの指差す満開の桜の木の下を見つめた。。


「は、はい...いいと思います...」

私たちはは桜の木の下まで行くと
名残惜しげに繋いでいた手を離した。