一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
私はトートバッグの中から
ギンガムチェック柄の
大きめのレジャーシートを取り出すと
桜の木の下へそれを広げた。
「ど、どうぞ...」
「ハハッ。それではお邪魔します」
私が座るように手で合図すると
神崎さんは少し照れくさそうに向かい合うようにして腰を下ろした。
そして、私がトートバッグから二段重ねの
重箱を取り出すと、神崎さんはまるで子供のように目を輝かせた。
「何だか宝箱開けるみたいにワクワクするな♪」
「あの...あまり期待しないでくださいね...」
私は自信なさげに呟きながらそっとお弁当のふたを開けた。
重箱の中には一段目には肉巻きお握りと大葉入りの卵焼き、二段目にはエビフライとほうれん草のコーン炒め、れんこんのきんぴら、ポテトサラダが詰められていた。
「うわぁ!旨そうだな♪
どれから食べようか迷うな」
あまりにも神崎さんがお弁当の中をじっと見るので、私は恥ずかしさをごまかすように
水筒を手に取った。
そして、紙コップにお茶を入れて神崎さんの前にそっと置いた。
「そんなことないです...
全体的に茶色っぽい彩りになってしまったのでもう少し赤みの食材を買っておけば
良かったです...」