一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
シュンと肩を落としている私に
神崎さんは慰めるように私の頭をポンポンと撫でた。
「ハハッ。
かよ子さんは芸術家だから
彩りを気にしてしまうんだね。
俺はかよ子さんが作ったものなら
何だって嬉しいよ」
優しく微笑む神崎さんに私は気恥ずかしさと
胸を締めつけられるような
痛みから思わず目をギュッとつぶった。
頬を赤らめてギュッと目をつぶるかよ子に
神崎さんはポンポンと叩く手をとめると
思わず吸い寄せられるように唇を重ねていた。
「んっ...」
私はビックリして神崎さんの胸を押し返した。
「か、神崎さんここ公園ですよ!」
「かよ子さんが目をつぶるから...」
神崎さんは不貞腐れたように言った。
確かに神崎さんの言う通り誤解させてしまう行動を取ったかもしれない。
「それは...そうかもしれないですけど......
でも...そうじゃなくて...」
私は何も言い返せなくなり口ごもった。
「かよ子さんは簡単に人の言うことを
信用しちゃうから心配だな...
じゃあ今度、俺の前で目をつぶったらまたするからね」
神崎さんは少し困ったような顔で微笑む。
その後、私たちは満開の桜の下、
楽しくお花見をした。
そして、お昼を食べ終えると
その後は二人でショッピングに出掛けたりと
慌ただしく過ぎていった。
私にとって
こんなにもワクワクドキドキしたり
する一日は生まれて初めてだった。
また来年も二人で行けたらいいな...
そう願いながらクタクタになったかよ子は
翼がお風呂から上がる前に
ソファでウトウトと眠ってしまっていた。
お風呂から上がった翼は
まるで疲れて眠る子供のような
かよ子を見つけると
クスッと笑って優しく髪を撫でた。
「かよ子さん...
今度僕の前で目をつぶったら
キスするって言ったでしょ...?」
翼はボソッと呟くとソファに眠るかよ子の頬に優しくキスをした。