HONEY BUNNY P!NK♡⦅前編⦆
『もしもし』
「ギャーン!モモぢゃああああん!!」
『あ、間違い電話ですね。切ります』
「まっ!ままっ、ま、ままままままま待たれい!」
『待ちませんが?』
「お願いします!モモちゃんさま!切らないでええええ!」
『え、うるさ』
とかなんとか言って、モモちゃんは見捨てないでくれるんだろうなって謎の確信があった。モモちゃんは優しい。不器用で、生意気で塩対応でも。すごく優しい。だから、つい甘えて、そして。
「仕事で使う大事なものを寝室に忘れちゃったの!おっきい黒のトートバッグ……うん、そう。私のブランドのロゴが入ってるやつ。それを今から送る地図の場所まで持ってきてくれないかなあ?」
口実を作って、呼び寄せて。見せつけてやりたかったのかもしれない。こんなにも良い子を。こんなにも素敵な男の子を。バカだなあ。本当に大切なものはそっと。隠しておくべきだったのに。