エリート外科医より、私は仕事!〜ウェディングドレスは心も身体もあなた色に〜


 水族館の帰り道、ステーキハウスに立ち寄り、食べたかったステーキとロブスターのセットを二人とも注文した。


 店員の女性が、鉄板にのった料理を運んでくれる。

 笑顔で「おまたせしました」と明るく。

 雅姫さんは『ありがとう』とさり気なく微笑みと言葉を返すと…


 店員の女性は雅姫さんを見て、一気に頬を赤らめて、顔を隠すように俯き、急いでキッチンへ戻っていく。


 あ〜〜、無意識のイケメンスマイル。

 何とな〜く、周りの視線を感じて、恐る恐る振り向けば、女性のお客様達がこっちを見てる。


 はぁぁぁ〜、“私の彼氏に熱い視線を送るな、と鋭い目で”言ってやりたいけど…

 けど……!


 そんな自信も勇気もない……。情けない…。


 人のそんな気も知らないで、雅姫さんは綺麗にステーキをカットして、口に運ぶ姿がまた優雅!

 
 皆さん、雅姫さんを見ないで!!


 と、声を大して言ってみたい。


  


 私はいつの間にかこんなに、わがままになったのか……。いつから、心を貴方でいっぱいに…なっていったのか。


 好きと言う気持ちが溢れすぎて。


 食べたかったステーキが色あせていく…。でも、食べるけれどね。


 『冷めるぞ?』分かってます。食べる手が止まったのは貴方のせいです。


 少し前までは仕事一筋で、恋愛なんて、ましてやイケメンにも興味なんて無いと思っていたのに…変わったなぁ…私。


 変えたのは、目の前の人だけど。無理やり変えられましたけどね!

 

 
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