エリート外科医より、私は仕事!〜ウェディングドレスは心も身体もあなた色に〜


 先生結婚してたんだ、やっぱりそうだよね独身なんてあり得ない。


 それに男の子パジャマ姿だった?入院中なの?


 マンションの前で見た女性はあの人だったに違いない。


 きっと二人ですれ違いがあって少しの間別居していたのかも?


 私に気づきませんように心の中で祈る


 どんな状況であれ私は少しの間だけでも、先生と一緒にくらしていたのは確かだから。


 幸せな家族に波風を立てる存在なんてなりたくない。


 短かったけど私にとって心にずっと残る幸せな時間だったから。


 笑ったり、怒ったり。


 やっぱり幸せと言葉にしたら、砂にように落ちていったなぁ…


 改めて分かりたくなかった、心の中が血で真っ赤に染まっていく感覚。


 もし私が素直に甘えていたら状況が変わっていたのかなぁ…?


 イヤ、そうしたら今度は奥様と子供を泣かせてしまう。


 仕事が一番大切だと、私にしたことを許せないと距離を取ったことは後悔しない。


 してはいけない。


 
 ずっとユラユラしていた心がハッキリ決まった。10月アメリカ研修の一人に、選ばれてみせる。


 それには生きた英語をもった話せるようにならないと。



 診察室から看護師さんが出てきて、お客様の後のことをお願いし、静かな病院をそっと後にした。



 



 


 





 
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