エリート外科医より、私は仕事!〜ウェディングドレスは心も身体もあなた色に〜
『おかえり』
先生が玄関で私を迎えてくれる。
「今日は私が遅くなっちゃった、ごめんなさい、直ぐに夕飯の準備しますね」
一緒に暮らし始めて一週間がたち、ここの生活も少しずつだけど慣れてきたなぁ…。
『たまには外食しよう、桜陽も疲れているだろう。』
確かに今日忙しくて足もパンパンで疲れているけれど、居候だから食事くらいは、私にはそれくらいしか…
先生は私の顔をじっとみて『たまには寿司が食べたい、だから行くぞ』
気を使ってくれているんだ。
疲れている顔をしてるんだろうなぁ…隠せないや。
私は素直に「はい!」と。
よし!、大トロ食べてやるぞ!
先生は私がお寿司が大好きなことを、よく分かってくれている。
相変わらず優しいんだから。
それが時々くすぐったい気持ちになり、心に暖かさが広がっていく。
「先…『雅姫、また先生と家で呼んだら医者の顔で徹底的に診察するから覚悟しろ』
「っう…」
意地悪な顔をしてる。
『それとも診察されたいのか、それならたっぷりと…』
頬をゆっくり撫でる大きな手!
「…っな、遠慮しておきます、私は健康ですから!」
『なんだ、つまらないな、桜陽を抱けると思ったのに、仕方ないもう少し我慢するか』
なんてことを言い出すのよ!
『顔があかいぞ!』
私は恥ずかしくて両手で顔を隠す。
『ほら行くぞ』とさり気なく手を出され私も手を添える。
強さが欲しいのに、この手を取ってもまだ僅かな不安が棘となって心に残る。
素直にこの気持ちを伝えられたら…
ごめんなさい、もう少し待って。
棘が抜けるまで…。
明日の雅姫さんのお弁当頑張ろう!
大好きな甘めの厚焼き玉子は必ずね。
そう思いながら雅姫さんの手をギュッと、しっかりと握る。
雅姫さんの笑顔をずっと見ていたいから。