宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~
「海里~。お着換えするよ~。」
「はーい。」
廊下でミニカーを走らせて遊んでいた海里が、トコトコとリビングにやって来た。
「今日は駅までお客さまのお迎えに行くからね。新幹線が見えるよ。」
「しんかんせん?」
「海里は新幹線、好きだもんね~。」
「うん。だーいすき!」
そろそろ三歳と半年が近くなって。海里と会話らしい話が出来るようになった。
ここまで来るのがタイヘンだったと、今更の様に思う。
「お、海里いいなあ。お出かけか?」
「しんかんせん見るの。」
「そうかあ。いいなあ。」
弟の歩と春から一緒に暮らし始めたので、海里もすっかり懐いていた。
海里に着せる服は、もうベビー用ではない。
洒落たシャツやパンツ、ジャケットだってお子様の物とは思えないくらいだ。
ママ友達からお下がりを譲ってもらったり、バザーで手に入れたりした服も
すぐに小さくなっていく。あっという間に赤ちゃんから幼児なってしまった。
今日は保育園に行く時よりチョッと良い服を海里に着せてみた。
「可愛いぞ、海里。」
「歩も可愛いぞ。」
叔父と甥っ子の会話はいつ聞いても微笑ましい。