宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~
「うわ~!」
入場券を買って、コンコースから新幹線のホームに出ると上りが発車して行くところだった。
週末のお昼前とあって、電車も地下鉄も比較的混んでいたので、
海里と二人で新神戸駅に着いた一花はホッとしていた。
30分もかからない距離なのに、子供を連れていると大旅行をした気分だ
海里は改札を通っても電車に乗っても目をキラキラさせている。
危ないので一花は海里を抱っこしていたが、彼は物凄く感動している様だ。
「しんかんせん…。おっきい。」
男の子はどうして乗り物に魅かれるんだろう。
ホームに滑るように入ってくる下りの新幹線の迫力は、海里を虜にしている様だ。
「うわ~、ママ!乗りたいです!」
「うん、今度ね。歩おじちゃんと三人で乗ろうね。」
「はい!おばあちゃんも一緒がいいです。」
「そうだねえ…。」
乗客が次々に降りてくる。
真っ赤なコートを羽織ったシリは、すぐにわかった。
「イチカ!お迎えサンキュー!」
「目立つ登場だなあ…。シリラット。」
「海里くんに初めて会うんだもん!」
「カッコイイ…。」
海里はシリを大きな目で見つめていた。
「君が、カイリ?」
「あい!」
「シリだよ!ヨロシクね。」
「シリ・レッド?」
「ごめんね。最近、マントたなびかせるヒーローに凝ってて…。」