宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~
離婚してからの陸の荒れよう…。
結局、四年経っても陸は恋人も愛人も作らずに暮らしている。
殺風景なマンションに独り暮らし。社長業に託けて趣味すら持たない残念な男だ。
「調べてみるか…。」
広島での用事を終えてから、風間は別荘の管理人の山形を訪ねる事にした。
山形は普段は島ではなく、対岸の町で夫婦二人暮らしをしている。
水杉商事を早期に定年退職した後、のんびりと畑仕事や別荘の管理人業をしているのだ。
突然の風間の来訪を、山形は暖かく迎えてくれた。
「すみません、山形さん。急に思い立ったものですから。」
「いえいえ、こんな辺鄙な所へお越しいただくなんて。」
「今日は、お尋ねしたい事がありまして。」
「では、どうぞ狭い家ですがおあがり下さい。」
「このままで結構です。すぐにお暇しますから。」
「そうですか?私にわかる事でしたらいいのですが…。」
「実は…一花さんの事なんです。」
「一花ちゃん…?」