宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~
「大田原が?」
「あの人の悪い噂はみんな知ってますからね。島に顔を見せたら一発で島中に伝わりますよ。」
「ああ、産廃投棄の噂ですね。」
「この島にも捨てるつもりかって、みんな警戒しましたから。」
「大田原は島に来て、何処に行ったんでしょうね。」
「そりゃ、社長のところでしょう。他には用事が無いと思いますよ。」
話を聞いて、風間は深く頷いた。
「わかりました。山形さん、貴重な話をありがとうございました。」
「いえいえ、お役に立てば良かったんですが…。」
「何となく見えてきました。」
「そうですか?」
山形は何が何だかわからない表情だ。
「これで、社長が落ち着くと良いんですが…。」
「はあ…?」
一連の山形からの話を聞いて、風間はまた二人がすれ違ったのだと確信した。
風間には、一花が陸から身を引いたのではという懸念も生まれていた。
『一度、東京へ行くか…。』