宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~


早速、その週の土曜日には風間は東京本社を訪れていた。

「お休みの日に申し訳ございません。」
「いや、どうせ仕事もあったんだ。会社に出てくるつもりだったから構わない。」

「お尋ねしたい事とご報告したい事がありまして。」

「何か広島出張で問題でもあったのか?」

「思い出していただきたいのですが…。」

「うん?」
「四年前の10月、別荘で大田原とお会いになりませんでしたか?」

「あの頃の事は…思い出したく無いんだが。」

陸の表情が一段と険しくなった。だが、それに怯む風間ではない。

「大切な事なんです。お会いになりましたよね。」

陸は返事はせずに、ただ頷いた。

「どんなお話でしたか?」

「それは…。」

陸も戸惑った。風間はどうしてそんな事を聞いてくるのか。

「…一花との結婚の時の約束を蒸し返して来たから、怒鳴って帰らせた。」

「島の売買の時の…どの部分でしょうか。」

「子供だ…。」

「ああ…。やっぱり…。」

「やっぱり?」


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