宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~
「そうかもしれないな…。」
あっさりと非を認める陸に、風間は驚いた。
「少し前に、島から山形が来たんだ。」
「山形さんが?」
「山形からある話を聞いた。あの時、俺は酷い誤解をしていて判断ミスをした。」
「離婚の話の時ですか?」
「もう少し確認すべきだった。今、後悔しても遅いかもしれないが。」
「一花さんを探されますか?」
「闇雲に探し回るより、まず大阪にいる一花の弟を尋ねてみようと思っている。」
「わかりました。大阪なら、早速私が手配します。」
「助かるよ。大学の附属病院に勤めている事までは突き止めた。
今日中に仕事を片付けて、来週は時間を作るようにする。」
よく見ると、陸は疲れが溜まっているのだろう。うっすらと隈がある。
「社長…見つかったら、一花さんの事はどうなさるおつもりですか?」
「わからない。正直、何も考えられない。まさか子供がいたなんて。」
「…可愛い、男のお子さんでした。ヤンチャそうな…。」
「そうか…。」
風間の話を聞けば聞く程、胸が痛む。
一花が子供を産んでいた?
自分に知らせず、産んで育てている?
『やっぱり、俺はポンコツだな。』