宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~
「先日、私の部下が新神戸で一花を見かけたと知らせてくれました。」
「駅で?」
「はい。新神戸駅です。」
ああ、シリラットを迎えに行った日か。ならば、きっと…。
「一花は子供を抱いていた。その子は、私の子?ですね。」
「それを聞くために大阪まで来られたんですか?」
「いえ…勿論、子供に会いたい。だけど一番には、一花に会いたくて…。
ただ、会いたくて。彼女の居場所を知りたいから来たんです。」
「だけど、今更じゃあないんですか?」
歩の態度は淡々としている。あくまで冷静に対応しようとしているのが良くわかった。
「弟のあなたから見れば、私は最低の男でしょう。
でも、一花に会いたくてたまらない気持ちに嘘はありません。
彼女を何としても幸せにしたい。」