宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~


「ありがとう。助かりました。」
「ダメじゃないか、あんなのに玄関を開けたら!」

強い口調の陸に驚いたのだろう。海里が涙声になった。

「ボクが、パパかと思って開けちゃったの。ゴメンなさい。」

シュンとする海里を抱き上げて、陸は慌ててご機嫌を取っている。
「海里…。パパを待っててくれたのか?」

「うん!」

「ありがとう。遅くなってごめんな。」
「パパに、僕が描いた絵を見てもらいたかったの。」

「どれ?」
海里のご機嫌は直った様だ。
抱っこから下ろしてもらうと、陸の手を引いている。

「中に入って、パパ。」
「ああ…。」

早速、陸の前に画用紙を広げて見せた。

「この絵だよ。」

「良く描けてる。上手だな、海里。」

「お魚いーっぱい!」

「海里は海に行った事あるか?」

「海?泳ぐの?寒いよ?」

「いや、冬だから泳がないよ。船に乗るんだ。」
「うわ~!お船に乗るの?」

「そうだよ。」
「乗ってみたいよ~。」


「じゃあ、冬休みになったら皆で一緒に船に乗ろう。」



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