宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~
リビング、キッチン、バスルーム…。どこもキチンと整えられている。
冷蔵庫の中には、食材とともに夕食用に下準備がされた物も入っていた。
温めればいいだけの様だ。もしかしたら、秋山シェフからかもしれない。
この島は、何て暖かく自分を迎え入れてくれるのだろう。
何も言わずに姿を消したのに…。
「ママ~、海里のお部屋どこ?」
「お二階かなあ。」
「階段上がってみようよ~。」
一花は母屋に入った事が無かったので、海里について二階の部屋を見に行った。
「ここ、パパの部屋?」
海里の開けたドアの先にはシンプルなダブルベッドが部屋の中央に置いてあった。
「そうだね。」
慌ててドアを閉めた一花は、胸が苦しくなってきた。
あんなベッドに陸と…。身体が燃え上がりそうなくらい火照ってきた。
「じゃあ、こっちは海里とママかな?」
次の部屋はセミダブルくらいのベッドのある寝室だった。
「そうね、ここでママと寝ましょうね。」