宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~

海里がいれば、話題も弾む。

三人は夕食のひと時を笑顔で過ごす事が出来た。

お腹いっぱいになった海里は、別荘内のあちこちを探検し始めた様だ。

一階の部屋を歩き回っていたが、突然大きな声が聞こえてきた。


「うわ~っ!」

「どうした?」
「どうしたの、海里!」

驚いた一花と陸がダイニングから声のした方へ走ると、海里はウッドデッキに出た様だ。

「こっち来て~っ!」

カーテンを開けてデッキを見ると、その前の庭が輝いていた。

「クリスマスのイルミネーション…。」

昼間は気がつかなかったが、美しくデッキの周りが飾り付けられている。

周囲の別荘に迷惑を掛けないように、海里くらいの身長に合わせたのだろうか。
低い植え込みを中心に、色とりどりの電飾がチカチカと煌めいていた。

中には柘植の木をトナカイに似せて刈り込んだものもあった。

「山形だな…。」

空には満点の星…。
そして庭のクリスマスイルミネーション。

光の中に海里はいた。


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