宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~
星空とイルミネーションを眺めていたら、いつの間にか海里は陸の腕の中で眠ってしまったらしい。
陸は愛おしそうに海里の寝顔を見つめていた。
「ベッドまで俺が運ぼう…。」
「お願いします。」
眠った子はずっしりと重くなる。一花ではもう数年したら抱き上げる事は難しくなるだろう。
二階のセミダブルベッドにそっと海里を寝かせた。
陸がベッドから離れると、一花は海里に寄り添ってそっと額を撫でた。
「おやすみ…。」
何度もそっと撫でてやった。笑っているように見える寝顔だ。
部屋の隅から、陸はその様子を眺めていた。
眠る我が子と、愛しい妻。
失った数年は取り戻せないが、今はこの手を伸ばせば掴めるのだ。
「一花、話がある…。」
一花も覚悟を決めていた。
陸に何を言われるのかわからないが、今度は逃げずにキチンと向き合おう。