宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~
「本当に?前にお義母様が、水杉の男は一つの物に執着するからっておっしゃったわ。
あなたは海里に執着しているんじゃあないの?」
「君が産んでくれた子だから、宝の様に思えるんだ。人生最高のプレゼントだよ。」
「陸さん…。」
「俺が執着したのは、祖父に言われ続けてきた、あの島を取り戻す事だったんだろうな。」
「ああ…そうだったのね…。」
「目的を失って感情が消えてしまった俺に、もう一度笑ったり怒ったりさせてくれたのが君だ。」
「私?」
「好きだよ、一花。君とやり直したい。もちろん海里と三人で。」
陸はポケットから指輪を取り出した。そっと、一花の左手の薬指にはめる。
「前には指輪を渡す事すらしなかった…本当に申し訳なかった。」
「今度は、私…チャンと妻になれますか?」
「俺の妻は君だけだ。この先ずっと…君だけを愛していく。」
陸は、一花の左手を取り、そっと口づけた。
「嬉しい…。」
陸は、一花を抱き寄せると耳元で囁く。
「一花…もう限界だ。」
「え?」
「…ベッドへ行こう。」
「あ…。」
「今夜こそ、キチンと君を抱きたい。」
陸を見上げる一花の頬はもう真っ赤だ。
「私も…。」
最後まで、一花は言葉が言えなかった。
陸に唇を奪われて、貪るようなキスをされたから…。
一花は心の中で呟いた。
「私も…愛しています…陸さん。」
あなたこそ、最高の贈り物。