宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~
再びの出会い
『プチ・ポアン』での午前中のアルバイトがいつも通りに終わって、
一花は軽くジョギングしながらコテージに帰っていた。
お昼ご飯は何にしよう。
冷蔵庫にあるタコのスライスでカルパッチョを作ろうか。
美味しいチーズや新鮮な卵でカルボナーラもいいなあ…。
そんな事を思いながら離れに帰り着き、早速シャワーを浴びた。
梅雨明けと同時に、瀬戸内でも晴天が続いている。少し動くと滴る汗だ。
鼻歌交じりに髪まで洗って、さっぱりとしてリビングに戻るとそこに水杉陸が立っていた。
真っ白なポロシャツにカーキのパンツ姿の陸。
あっさりとした組み合わせなのに、スタイルが良いから絵になっている。
どうしてこんな所に来ているんだろう。
一花がボンヤリと見つめていたら信じられない声が聞こえた。
「誰だ?お前。」
訝しそうに、こっちを見ている。
『私の事、わからないんだ…。』