宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~
一週間後、秋山夫妻の車に同乗して三宮に着いた一花は、そこから夜行バスに乗った。
低コストで東京の鍛冶橋駐車場に着いのはいいが、まだ朝の6時半過ぎだった。
早すぎるかな…と考えていたら、久しぶりに弟の声が聞こえた。
「姉さん!」
弟の歩が迎えに来てくれたらしい。
8時頃になったら弟の住む千駄ヶ谷まで行こうかと思っていたのでありがたい。
「歩、来てくれたの!」
「姉さん、方向音痴だからね。俺のアパートまで怪しいもん。」
「助かったわ~。」
「よく、夜行バスで来たねえ。足、大丈夫?」
スーツケースを受け取りながら、歩は姉の足を心配してくれた。
「少しマッサージとかしながら乗ってたよ。」
「エコノミー症候群にも気をつけなきゃだよ。」
「はいはい、お医者様らしくなったね、歩。」
「うん、あと1年チョッとで国家試験だ。」
「やっとここまで来たね!」
「ゴメンね、姉さん。」