宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~
「あちこちフラフラするな!」
「そんな事、今さら言われても…。」
「男遊びもするな。」
「そんな事していないわ!」
どの口がそんな事を言えるんだ。さっき男と身体を絡めて踊ってたじゃあないか…。
腹立たしさと怒りに任せて部屋の壁に一花を押し付けると、いきなり陸はキスを仕掛けた。
遊び慣れたオンナなら喜びそうなキスだ。
「んん…。」
舐めて、絡めて、吸い上げる。
一花は最初は抵抗していたが、そのうち身体の力がスコンと抜け落ちた。
後は、陸の思いのままだ。
激しいキスを暫く続けてから、陸は一花の身体から離れた。
無言のまま、お互い見つめ合う。二人の息は荒い。
呼吸する音以外、言葉がなかった。
先に正気に戻ったのは陸だった。
何も言わず一花を押しやると、ドアを開けて出て行った。
その後は、バタンとドアが閉まる音が部屋に響いただけだった。