宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~
翌朝、裸で抱き合ったまま目覚めて恥じらう一花に、陸は信じられない事を告げた。
「これから一週間、俺は仕事を休む。この島でハネムーンだ。」
「ハ、ハネムーン…?」
「二人だけで、のんびり過ごそう。」
「ええっ!」
のんびりと言っても、釣りかサイクリングくらいしか島にはレジャーが無い。
二人はフェリーで本州側に渡ってオリーブ園を見学したり
まだ青いミカン園に行って早生のみかん狩りを楽しんだりした。
それ以外は…。
ベッドにいたと言ってもいい。
飽きることなく、陸は一花の身体を貪った。
バレエで鍛えたしなやかな一花の身体が、陸を燃え上がらせた。
一時も離したくないと思わせるほどの執着ぶりだ。
これが何か月も妻を島に放置していた夫のする事だろうか。
彼に身体を支配されながら、一花の心は揺れて定まらない。
彼が何を考えているのかわからないから、今の関係が信じられない。
休日の四日目、五日目が過ぎていく。
二人でどんなに親密に、どれだけ激しく愛しあっても一花はまだ、処女のままだった。
『どうして?』
何度も尋ねたかった。尋ねようと思った。
だが、それを彼に捧げてしまえば何かを失いそうで…。彼の答えを知るのが怖かったのだ。