宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~
信じあえるならば
日が陰って肌寒くなった頃、一花は離れにやっと顔を見せた。
「だだいま…。」
「お帰り、遅かったね。」
「ごめんなさい。お昼の準備出来なくて。」
「それはいいが…顔色が悪いな。」
「冷えたのかな?大丈夫だよ。」
「おいで…。」
陸の側に行くと、そっと抱き寄せられた。
「ホントだ、身体が冷え切ってるじゃないか。髪まで冷たい。」
「あったかい…。」
ああ…この人は見た目は冷酷でコワイけど、こんなにあったかい人なんだ。
「今日ね…。」
「うん?」
「マダムにワイン頂いたの。あなたとどうぞって。」
「それは嬉しいな。」
「美味しいもの作るから、いっぱい食べて飲みましょう。」
「そうだな、明日で休暇も終わりだから。」
そうだ、ハネムーンと言っていた一週間が終わってしまう。
「最後まで、楽しみましょうね。」