宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~
何種類かの手料理がテーブルに並んだ。
杉ばあが届けてくれる新鮮な魚介類と『プチ・ポアン』で習った料理。
一花に準備出来る、せめてもの晩餐だ。
新鮮な小エビのカクテル風。
熱々の牡蠣のグラタン。
良く冷えた白ワインには、どれも良くあった。
対岸の丘陵地で採れるカボチャは美味しいと言われているので
薄くカットしてバターで焼いてみた。
「旨い!」
少しまぶしたグラニュー糖が甘すぎたかと思ったが、意外に陸は大丈夫なようだ。
二人でお喋りしながら食べて、飲んで…。
「一花、クリスマスは、また東京に出てくるか?」
「まだ一ヶ月以上も先の事よ。」
「早めに予定を立てておこう。」
「お仕事休めるんですか?」
「君と一緒に過ごすのも悪くない。」
「嬉しい…。先に楽しみがあるって、幸せね。」