宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~
霞が関に勤める学生時代の友人達に頼み、大田原の行動を探らせた。
マスコミに勤める友人にも美しい島を汚そうとしている男がいるとリークした。
お陰で、陸個人は大した苦労もせず大田原を苦境に立たすことが出来たのだ。
一つ誤算だったのは、上手に島の売却話を持って行ったのだが
大田原も狡猾な商人だ。両家の和解の証として縁談を持ち掛けてきた。
大田原に娘はいない筈…と思っていたら、兄の忘れ形見だという。
調べたら、確かに大田原の亡くなった兄には二人の子供がいた。
夫亡き後、残された妻と娘はここより少し北にある山間の城下町で暮らし、
息子は東京の大学に進学しているらしい。
大田原の兄と言うのは外務省に勤めていたから、家族はあちこち外国で暮らしていたのだろう。
娘の方の詳しい情報は掴めなかったが、大田原が差し出した『釣り書き』には
地元の大学中退と書かれていた。
きっと派手に遊び暮らしていて、単位を落としたんだろう。
何しろ結婚の条件に、破格の小遣いを要求するようなオンナなのだ。