貴方に逢えて

真実を打ち明ける

 「先生。本当のこと言います。」
 「本当のこと?」
 「はい。私、借金があるんです。
  親が友人の連帯保証人になって、友人が病気で死にました。親が代わりに払ってました。でも、親も2年前に事故で2人とも死にました。そしたら、私のところに金融機関の人が来ました。払うことになりました。妹には、話せなくて、自分で返そうって。幸い、取り立てみたいなのはないけど、看護師の給料だけでは、6年以上かかります。そんな時に、”レンタル彼女”のサイトを見つけて、やり始めました。」
 「そうなんだ。」
 「引きますよね。だから、付き合えません。」

 佐々木先生はしばらく黙った。
 
 「えーっと。借金がなくなったら、”レンタル彼女”やめる?
 俺と付き合ってくれる?」
 「え?・・・・・。はい。」
 借金返し終わるまで待っててくれるってこと???

 「俺が、借金を返すよ。全額いくら?」
 「今、残り250万円です。」
 「じゃあ、俺が払う。そしたら、付き合ってくれる?」
 「いや、それはできない。先生に払わすわけにはいかない。」

 「そっか、じゃあ、250万円で橘さんを買う。」
 「いや、それはなんか・・・。」
 「あ、じゃあ、俺が250万円立て替える。橘さんは俺に払ってくれればいい。
 それなら問題ないでしょ?」
 問題ないのか?わからなかった。
 
 黙っていた。
 「橘さんは俺に借金を返すことになる。利息はなし。何年かかってもいい。
 それなら、橘さんは利息も払わなくて済むし、”レンタル彼女”もやめれるでし ょ?どう?」
 勢いに負けた。嬉しかった。
 「はい・・・。先生、ホントにいいんですか?」
 「いいよ。ちゃんと貯金ある。」
 「じゃあ、毎月ちゃんと先生に払っていきます。必ず返します。
 宜しくお願い致します。」
 「『今の宜しくお願い致します。』は付き合ってくれるってこと?」
 「え?あ、そういう意味ではなかったけど、
 私で本当にいいんですか?」
 「橘さんがいいの。だから、いい悪いもない。」
泣けた。今までの苦労が、すっと取れるような気がした。

 「橘さん、店出ようか?」
 「はい。」ぐちゃぐちゃな顔の私を気遣ってくれて、車に乗った。
号泣した。

裕太君・佐々木先生は何も言わず、優しくて抱きしめてくれた。

落ち着いたころ、裕太君・佐々木先生から
「家に行ってもいい?」
「はい。」

 自宅に着くなり、抱きしめられ、熱く激しいキスをされた。
そのまま、ベッドに行き、眼鏡を取った裕太君と抱き合った。
 すごく幸せだった。
本当はずっと、ずっと、裕太君と一緒にいたかった。
幸せ・幸せ・・・・。
 
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