貴方に逢えて
 山内金融に到着した。
 中に入り、あいさつをした。

「おはようございます。」

 裕太君を見て、組長が
「坊ちゃん?お久しぶりです。
 医者になったとこかで。すごいですね。
 今日は、どうされたんですか?」
『は?どういうこと?』

裕太君は、組長と話す。
「お久しぶりです。
 今日は、彼女の借金を返しに来ました。
 この借用書の残りのお金を全部、俺が返します。それで、
 彼女の借金はなしでいいですよね?」

借用書を見せ、お金を出す。
「はい。もちろんです。
 わざわざ持ってきて頂いてありがとうございます。」

裕太君は私の肩を抱いて、
「じゃあ。また。」
「お父様によろしくお伝えください。」
「あ、ご迷惑おかけしました。」
と、組長にあいさつをし、山内組の事務所を出た。

全然意味がわからなかった。
車の中で、裕太君は事情を教えてくれた。

「俺、佐々木組の会長の息子。組長は俺の兄。
 それで、山内さんは、昔、父親の弟子だったんだけど、独立したの。
 お金の貸し借りもしっているけど、普段は土木系の仕事もしてる。
 小さいときからの知り合いってことだね。」
「そういうことか・・・。
 ってことは、坊ちゃん?」
「坊ちゃんって言われるの嫌だけど、そういうことになるかな?」

『裕太君、坊ちゃんなんだ。』

裕太君が、車を止めた。
「着いたよ。」
大きな門の家の前。

「えっ?」
「俺んち。まあ、普段は一人暮らしだけど、たまに帰ってくるんだ。」

『えっ?家行くのか?』

ピンポーン。チャイムを鳴らす。
「裕太です。」
「お待ちください。裕太さん。」
男の人の声だった。

大きな門が開き、大きな玄関を開けると、男の人が2人立っており、
「おかえりなさいませ。裕太さん。」
「ただいま。親父いる?」
「はい。おみえです。」
玄関から入り、奥のリビングに入っていく。

『私、来ていいのか?場違いでは・・・』
急すぎて、頭がパニックになっていた。

「親父、久しぶり。」
「おお、裕太帰って来たのか?」
「うん。彼女連れて来た。」

あ、あいさつしなきゃ。
「はじめまして。橘美幸と申します。
 裕太さんの働いている病院で看護師をしております。」
「はじめまして。裕太がお世話になってます。」
「いえ、私が裕太さんに助けて頂いてます。」
「裕太。いいお嬢さんだな。」
「いえ。」
「昼、食べて行けよ。」

裕太君は私を見た。
私は何とも言えない顔していたと思う。
「今日は、いいや。
 親父に、彼女を紹介したかっただけだから。将来の奥さんにする予定だし。」

『は?急展開すぎ。』
「そういうことか。また、遊びに来いよ。
 美幸さんも、また、来てくださいね。」
「はい。ありがとうございます。宜しくお願い致します。」
「じゃあな。親父。」
「おう。」

玄関で、2人の男の人に見送られる。
「いってらっしゃいませ。」
「いってきます。」
車により、裕太君の実家を出る。

「昼ごはん食べに行こうか?」
「あ、うん。ってか、どういうこと?」
「あー、ちゃんと話すね。」

車を止めて、私の方を見て話をしてくれる。
「改めて、言います。
 俺と付き合ってくれますか?結婚も考えてます。
 今は、まだ、医者になりたてで、忙しいけど、これから先、ずっと、美幸と
一緒にいたいと思ってます。
 お願いします。」

めちゃくちゃ嬉しかった。
「ホントに?借金返すまでだと思ってた。
 こんな私でいいの?」
「お金のことはどうでもいい。美幸がいい。美幸じゃなきゃダメなんで。」
「うれしい。ありがとう。」

正式に、告白してくれて、付き合うことに対する実感が沸いた。

「じゃあ、改めて、昼ごはんたべに行こう!!」
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