キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
それがきっかけで今、私は喫茶マリンでウェイトレスをしている。
料理を作っていた男性はマスターの後藤晴彦さん四十二歳、女性は奥さまの寛子さん二十九歳。
ふたりは二年前に歳の差を超えた大恋愛で結婚し、現在寛子さんは妊娠九か月に入るところだ。
寛子さんは歳も近いからお姉さんのようで、マスターは本人には言えないけどお父さんみたいでふたりとも大好きになった。
そしてもうひとりバイトの大学生の男の子がいるんだけど、私と入れ替わりのようにシフトに入っているのでたまにしか会わないけどとても感じのいい好青年な印象だ。
ここで私は寛子さんが産休を経て仕事復帰するまで働くことにした。
「茉緒チャン、これ二階ね」
「は~い」
「寛子、無理するなよ」
「わかってるって」
仲の良い夫婦を微笑ましく思いながら私は料理を持って二階に上がる。
二階はテーブル席が四つあり十数名の団体客も受付可能だ。
昼間は主婦やカップルが多く、ここのコーヒーとケーキ目当てのお客様が多い。
今日は小さなお子さんのいるママ友の集まりのようで六人ほどが二つのテーブルを繋げ楽しそうに会話していた。
子供たちはチャイルドスペースでおもちゃで遊んでいる。