キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
頭の中には智成の言葉がぐるぐると回る。
『いいか、落ち着いて聞いてくれ。……陸翔が、テロに巻き込まれたらしい』
テロ?
そんな言葉ニュースの中でしか聞いたことがなかった。
お兄ちゃんはニューヨークで仕事をしてるはずでそんな物騒な事件に巻き込まれるなんてあるはずがない。
『今陸翔と連絡が取れなくて消息不明なんだ。外務省とも連絡を取って安否確認をしているがわかっていない。茉緒、今すぐ会社に来られるか? どういう状況になるかわからないから実家にも連絡を入れた。一緒にいる益木さんの家族も呼んでいて……茉緒、聞いてるか?』
そんな、ばかな。
そう思っているとタクシーは会社に着いた。
高いビルのてっぺんを仰ぎ見る。
ここに間違ってきたときは、お兄ちゃんがこんな大きな会社に勤めてたなんて知らなくて驚いた。
ここで立派に仕事して、海外を飛び回って、英語もペラペラで、優しくて面倒見がよくて、自慢の兄だと改めて思ってた。
初めてそんなお兄ちゃんの会社に足を踏み入れるのがこんな不安な状況だなんて思いもしなかった。
なんだか入るのが怖くて躊躇していると中から見たことのある女性が出てきた。
「八坂さんの妹さん、ですよね?」
「はい」
声を掛けてきたのは有川さんだった。
智成に言われて私を迎えに来たと言い、中に案内された。
隙のない高級そうなスーツを纏い凛とした出で立ちの有川さんは立っているだけで目を引く美しさだ。そんな彼女が心配そうに私に声を掛けてくれる。
「ご心中お察しします。まだ八坂さんの安否確認はできておりませんがわかり次第お伝えしますので」
「はい、ありがとうございます」
こんな状況で有川さんと話をするとは思わなかった。
お見合いを正式に断ったと智成からは聞いているけど、今も智成のそばで働いている有川さんはなにを思っているのだろう。
そんな悠長なことを思ったのは一瞬で、会議室のような場所に案内され智成が顔を出したとき、安堵と不安で思わず智成に駆け寄った。
『いいか、落ち着いて聞いてくれ。……陸翔が、テロに巻き込まれたらしい』
テロ?
そんな言葉ニュースの中でしか聞いたことがなかった。
お兄ちゃんはニューヨークで仕事をしてるはずでそんな物騒な事件に巻き込まれるなんてあるはずがない。
『今陸翔と連絡が取れなくて消息不明なんだ。外務省とも連絡を取って安否確認をしているがわかっていない。茉緒、今すぐ会社に来られるか? どういう状況になるかわからないから実家にも連絡を入れた。一緒にいる益木さんの家族も呼んでいて……茉緒、聞いてるか?』
そんな、ばかな。
そう思っているとタクシーは会社に着いた。
高いビルのてっぺんを仰ぎ見る。
ここに間違ってきたときは、お兄ちゃんがこんな大きな会社に勤めてたなんて知らなくて驚いた。
ここで立派に仕事して、海外を飛び回って、英語もペラペラで、優しくて面倒見がよくて、自慢の兄だと改めて思ってた。
初めてそんなお兄ちゃんの会社に足を踏み入れるのがこんな不安な状況だなんて思いもしなかった。
なんだか入るのが怖くて躊躇していると中から見たことのある女性が出てきた。
「八坂さんの妹さん、ですよね?」
「はい」
声を掛けてきたのは有川さんだった。
智成に言われて私を迎えに来たと言い、中に案内された。
隙のない高級そうなスーツを纏い凛とした出で立ちの有川さんは立っているだけで目を引く美しさだ。そんな彼女が心配そうに私に声を掛けてくれる。
「ご心中お察しします。まだ八坂さんの安否確認はできておりませんがわかり次第お伝えしますので」
「はい、ありがとうございます」
こんな状況で有川さんと話をするとは思わなかった。
お見合いを正式に断ったと智成からは聞いているけど、今も智成のそばで働いている有川さんはなにを思っているのだろう。
そんな悠長なことを思ったのは一瞬で、会議室のような場所に案内され智成が顔を出したとき、安堵と不安で思わず智成に駆け寄った。