キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「あ~、真っ黒こげ……」
低層マンションの四階の角部屋。
柵は熱で溶けたようにひしゃげ窓があった場所はぽっかり穴が開いて中は煤で黒く塗りつぶされている。
煉瓦でできた外装で結構おしゃれなマンションだったのに、その一角だけが異様な存在を放っていた。
私、八坂茉緒はその光景をぼうっと見てはっと我に返った。
「ってか、お兄ちゃん!」
このマンションには兄、陸翔が住んでいる。
しかも真っ黒こげの部屋の真下。
ぜったい被害を被っているはず。
まさか火傷でもして入院してるとか?
ここ数日連絡の取れない兄に業を煮やしていたというのにこんな状況想定外だ。
いてもたってもいられず私は何度かけても出ない携帯にもう一度電話をした。
RRRRR~
『はいは~い、どした、茉緒』
「は……はいは~い、じゃないわよ! お兄ちゃん! 今どこにいるの!?」
あんなに掛けても繋がらなかったのに!
なんで今頃繋がって、しかもなんでこんなにノー天気に出るの!?
『あ~わりい、電話すっごい掛けて来てたな~。着歴見て一瞬引いたぞ』
あはははは~と電話越しで笑う兄に私は怒り心頭! 
着歴見たんなら電話してきなさいよ!
こめかみには青筋が立った。
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