キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「泣かせるつもりはなかった、ごめん。茉緒があまりにも陸翔のことを心配して抱きついて泣いてたのが羨ましかったんだよ」
「はあ? なに言ってるの? お兄ちゃんを心配するのは当たり前でしょう家族なんだから」
鼻をすすりながら文句を言うと智成は私の頭を撫でて宥める。
「それは、わかってるよ。それでも妬けた。俺は茉緒が不安がってる時に傍にいてやることもできなかったから、余計にそう思ったのかな、情けない」
「それは、仕方のないことでしょ」
顔を上げ落ち込んでいるらしい智成を見た。
「智成はお兄ちゃんの情報を得るために奔走してたのに私はただ待ってるだけで、なにもできなかった私の方が情けないと思うよ」
「茉緒がそんなこと思う必要ない。不安に耐えて陸翔の無事を祈ることは大事なことだろ? それだけで陸翔の支えになったんだから」
お兄ちゃんは家族が心配してると聞いて現地で生きててよかったと心の底から思い、だからこそ早く無事な姿を見せたくて急いで帰ってきたと言っていた。
待っていてくれる人がいると思えるだけで心強かったとすれば私たちはただ待っていただけだとしても役には立っていたのだろう。
そう思うと素直に頷ける。
「うん」

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