キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
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陸翔が行方不明。
始めに訊いた時は俺も信じられなかった。
茉緒に連絡し会社で顔を合わせたときの悲痛な表情を忘れられない。
あのとき本当はずっとそばにいて茉緒を励ましてやりたかったのにそれができないことに苛立ちを感じていた。
陸翔が見つからない焦燥感、茉緒のそばにいてやれない苦悩が俺を苛む。
それでもとにかく茉緒を安心させてやりたいと情報収集に集中した。
そして、身元不明の日本人の男女が臨時の負傷者収容所にいるという情報を聞きつけきっと陸翔たちに違いないと一筋の光明が差した。
そんなとき茉緒と廊下でばったり会ったが、まだ確定ではなかったためぬか喜びさせてはいけないと咄嗟にまだ陸翔は見つかってないと言った。
見るからに落胆する茉緒に触れようとしたときに拒絶されたのは正直ショックだった。辛そうに涙を溜め横を通り過ぎる茉緒に、あんな顔をさせてしまったのは俺だと思うと自分にムカついた。
身元不明のふたりは誰なのか、なかなか判明しないことに苛立ち電話の相手に怒鳴りつけてしまい、周りが凍り付いたのに気づいて慌てて相手に謝った。
なにをやってるんだ俺は。
連絡を取り合う以外なにもできないというのになぜもっと冷静にできないのかと頭を抱えた。