キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「随分偉そうだな、謝ってるように見えないぞ?」
散々邪魔されたからちょっと恨み節も入ってる智成にお兄ちゃんはうっ、と言葉に詰まり開き直ったように言い返した。
「智成は、茉緒と結婚したら俺は義理の兄になるんだ偉そうにしてなにが悪い」
「義兄だなんてこれっぽっちも思えないけどな」
「なにを~? こんな義弟やだな、やっぱ結婚とか考え直せ茉緒」
最近いがみあっていたふたりだったけど、これは前のようにじゃれ合っているだけだと私にはわかる。
楽しそうなふたりの顔に私も楽しくなって笑いを零した。
「ふふっ、やだ」
「え~~~~!」
文句を言いつつ笑っているお兄ちゃんに私は嬉しくなって腕に抱きついた。
「ありがとう、お兄ちゃん」
「おい、茉緒っ」
すかさず智成が私たち兄妹を剥しにかかり奪い取ると後ろから羽交い絞めにされた。
「ちょっ、智成苦しい」
「お前ら相変わらず仲良すぎ」
「仲が良くて何が悪い。義弟よ、茉緒がほしけりゃ俺を味方につけといた方がいいぞ。ほら敬え崇め奉れ、陸翔大明神様と手を合わせろ」
「するかっ!」
「あっはははっ!」
ほれほれと調子に乗ったお兄ちゃんに鋭いツッコミを入れた智成が可笑しくて私は大いに笑った。

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