キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「な……なんだ、やけに積極的だな」
一瞬驚いた後、ニヤニヤしながらベッドに入る智成が私に覆いかぶさろうとする。
「だめ、頭はこっち」
私は智成の肩を押し返して首の下に腕を入れ隣に無理やり寝かせた。
「今日は私が腕枕してあげる」
「は?」
その気だった智成は私がなにをしたいのかわからないようで訝し気な顔する。
「智成疲れてるでしょ? 私智成に腕枕してもらうとよく眠れるから、今日はお返しに腕枕してあげるからゆっくり休んで」
「別に疲れてなんか」
「いいから、ほら」
元気がないのは疲れてるからだろう。疲労回復には寝るのが一番だもんね。
頭を抱えるように抱きしめると智成も私の背中に腕を回し抱きしめ返した。
「なんか、寝ずらいんだけど」
「え? だめ? 私はこうやって抱き締められるとあったかくて安心できてすぐ寝れるんだけどな」
文句を言われて拗ね気味で離れようとするとそれを許さないとでも言うように智成の腕に力が籠る。
「寝心地は悪くない。でも、目の前においしそうな胸があるとムラムラするだろ」
「はあ?」
それほど豊満でもない胸にすりすりと頬ずりする智成を呆れて見た。
クスクス笑う智成は目を瞑ったままもう微睡んでいるようだ。
「こうやって、毎日茉緒を抱きしめて眠りたい」
「智成……私も」
「ん……」
スーっと寝息が聞こえて、あっという間に智成は寝てしまった。
本人は否定するけどやっぱり智成は疲れているらしい。
意外と幼く見える寝顔を見ながら労わるように頭を撫で私も眠った。
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