キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
翌朝、もぞもぞと怪しく動く智成の手に起こされた。
「……ん? なに?」
「おはよう」
半分しか開かない目を智成に向けると声が掛かりクスリと笑う気配がした。
すっかり起きているらしい智成の手はパジャマの中で蠢き素肌を撫でる。
抵抗できるほど頭が覚醒してないのでされるがまま、思わず身動ぎすると急に胃がむかむかしてきた。
「う……気持ち悪い」
「は? 茉緒?」
「吐きそう……」
「はあ!?」
思わず口を押えた私に慌てた智成が起き上がって背中を摩ってくれる。
「大丈夫か? トイレ行くか?」
「う、だいじょうぶ……」
しばらくじっとしてると吐き気は治まってふうっと息を吐いた。
「もう大丈夫みたい、なんだろ、二日酔いかな」
「おま……酒豪のくせになに言ってる、今まで二日酔いなんてしたことないじゃないか」
呆れたように言われてちょっとムッとした。
お酒に弱い智成に言われるのはなんか癪に障るわ。
じろりと睨むと智成は意外と心配そうな顔して私の顔を覗き込む。
「でも、昨日はあんまり飲んでなかったよな? もしかして体調悪いのか?」
「う、ううん、大丈夫、だと、思う」
胃のむかつきも治まったというのにまだ背中を摩ってくれてる手が優しい。
真剣に心配してくれてることがこそばゆくてつい視線をそらしてしまった。
「本当に?」
「うん、もう大丈夫だって」
まだ心配して追うように私の顔を覗き込もうとするから見られないように智成に抱きついた。
智成はそんな私の頭を撫でてくれる。
たまに意地悪なくせになんでこんなに優しいんだろう。智成と一緒にいると幸せだなあって思う。
私が思うように智成も私と一緒にいて幸せだなあって思ってもらえてたらいいな。
「あんま、無理すんなよ」
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