キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「失礼を承知で言います。風間さんに、あなたは相応しくありません」
断言されて、ああ、やっぱりそうか。と、なんとも言えない苦いものが込み上げる。
「あなたは、風間さんの立場をわかっているのですか?」
「……立場?」
「風間さんはただの秘書なんかじゃありません。風間ホールディングスの代表取締役社長、風間成司氏のご令息ですよ? もちろんご存じですよね?」
「え? ええ、まあ」
「本当にわかっておられます? 風間さんは二か月後には本社に移り風間ホールディングスを継ぐために大変な重責を担い増々ご苦労をされるんですよ?」
「本社……?」
智成本社に行くの? そんな話は聞いていない。
智成がどこに勤めようが私には関係ないけど、決まってるなら言ってくれてもいいんじゃない? と、ちょっと思う。
それに、お兄ちゃんとは勤め先が離れ離れになるのか、なんか寂しいな。
「そんな風間さんに寄り添う方は彼の立場を理解し支え仕事もサポートできなければ務まりません」
「それは……」
あなたにできるのかとでも言いたげな有川さんに怯み言葉が出てこない。
智成の仕事のことなんてなんにも知らない。
なにも持っていない私が智成の仕事のサポートなんてできるわけないし、支えって、いったいどうしたら……?
「あなたは支えるどころか、風間さんを困らせ苦しめてる。あなたは自分のことしか考えていないのだとそれはもうがっかりしました」
さすがに眉根を顰めなんでそこまで言われないといけないんだろうと思う。
でも有川さんの次の言葉に戸惑った。
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