キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です

そして予定よりも一日早く仕事を終わらせ俺は帰路に着くことになったが、そのまま茉緒の実家に直行することにした。
陸翔も茉緒が心配だからと、同じ日に実家に帰ることにしたと言うから駅で落ち合うことになった。
新幹線で移動中、流れていく景色を眺めながら考えることは茉緒のことばかり。
陸翔が消息不明だった時の心細そうな顔をする茉緒を思い出すと、早くそばにいてやりたいと思う。
今はご両親のいる実家にいるのだからそんなことないだろうに、なぜだか俺が行かなくては! という使命感に囚われていた。
いや、きっと俺が心細いんだ。
茉緒が居なくて声も聞けなくて寂しくて心が彼女を欲している。
茉緒に逢いたい
抱きしめたい
温もりを感じたい
あの甘い唇を堪能したい……
ハッと我に返って、あまりの執着具合に自分でドン引きした。
もう茉緒なしでは生きていけないかも。
つい数か月前まで俺はひとりで生きてきたはずなのに、こんなにひ弱になってしまって大の男が情けない。
こんなんじゃ茉緒にまでドン引きされるぞ、いろんな意味で。
引きつる顔を両手で覆い天を仰いだ。
思い返せば茉緒と出逢ったこの数カ月で俺の人生はがらりと変わった気がする。
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